ベアリングはめあい選定 - 緩すぎるとクリープ、締めすぎると焼き付き

内輪・外輪はめあい基準、回転体/固定体の区別、JS7/K5等の実務選定法

転がり軸受のはめあい指示は、JIS B 1566(転がり軸受のはめあい)に基準値があるが、実務では「ここを締めれば寿命が稼げる」という経験則と数値表の摺り合わせが必要だ。各ベアリングメーカーのカタログ末尾に付いているはめあい表は、設計時に手元に置いておく価値がある。緩いはめあいでクリープが起き軸が摩耗するケース、締めすぎで内部すきまが消えて焼き付きが起きるケースのいずれも、はめあい指示の精度で決まる。

原則:荷重を受けて回る側を「しまり」に

判断基準は「どちらの輪が回転荷重を受けるか」だ。回転側を緩く取り付ければ、ボリュームを変えながら同じ場所で荷重を受けて削れていく(クリープ)。

  • 内輪回転(モーター・減速機・ポンプ軸):内輪は軸に対してk5・m5・n5のしまり、外輪はハウジングに対してH7・JS7のすきま〜中間。
  • 外輪回転(自動車ハブ・搬送ローラー):外輪はハウジングに対してK7・M7・N7のしまり、内輪は軸に対してg6・h6のすきま。

JIS B 1566に基づく荷重別の使い分け

軸荷重比 C/P(基本動定格荷重÷等価動荷重)でしめ代を選ぶのがJIS表の読み方だ:

  • 軽荷重 C/P ≥ 15:k5、m5(精密測定器、サーボモータ)
  • 普通荷重 8 ≤ C/P < 15:m5、n5(搬送機械、減速機)
  • 重荷重 C/P < 8:n5、p5、r5(圧延機、建機)

自動車・産業ロボット用のハブベアリングはC/Pが小さくn5・p5を指定することが多い。一方、半導体製造装置の精密スピンドルはjs5+JS6の中間ばめでプリロードを微調整するのが一般的だ。

内部すきまの減少を必ず計算する

しまりはめを掛けると、軸が内輪を外側に押し広げ、ベアリング内部のラジアルすきまが目減りする。各メーカーのテクニカルマニュアルには、材料・サイズ別の減少量チャートが掲載されている。実務上の目安として、m5以上のしまりを使う場合は標準すきま(CN)ではなくC3、運転温度が高い用途ではC4を指定しておく方が安全側になる。

💡 設計レビューの指針
はめあいだけ整えて内部すきまの選定を忘れる図面が最も危険だ。寿命計算で20,000時間を見込んでいても、内部すきま不足で短時間焼き付きに至るケースは珍しくない。はめあい指示と内部すきま選定は必ずセットで検討する。
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