加工工程を知らなければ設計はできない - 加工しろと形状制限の実務
ミーリングRコーナー(工具R)、旋削センター穴、研削しろ(0.2~0.5mm)、放電加工限界、内径研削最小径、ボーリング深さ制限、アンダーカット/逃げ溝 — 加工工程別の設計制限
加工工程を知らない設計者の図面は災害になる——というのは機械設計教育で繰り返し言われる古典的教訓だ。JIS B 0001(製図ルール)、JIS B 0612(研削逃げ溝)、JIS B 1011(センター穴)といった工程関連の規格を最低限押さえた上で、工具カタログにある加工条件を意識した図面を描くと、加工側との連携が円滑になる。内Rを工具半径ピッタリに描くとびびり跡が出やすく、R+1割の余裕が安全側だ。
ミーリング — 内部コーナーR必須
エンドミル径の半分以上のRが内コーナーに必要。直角がどうしても必要なら:
- 放電加工(EDM)への切替を検討
- コーナーにドッグボーン状リリーフカット(小型ボーリング業界の定番)
- ポケット深さ3D以上は工具剛性のため内Rさらに大きく
旋削 — センター穴を図面に明示(JIS B 1011)
長尺軸(L/D > 4)の旋盤加工は両端センター穴が必要。図面表記がないと加工者が勝手に判断して偏心の原因になる:
- φ10〜30軸:A2.5センター(JIS B 1011 A形)
- φ30〜60軸:A4センター
- 完成品でセンター穴NG:「加工後除去」「センター穴許容」を明示
研削(Grinding)取りしろ
研削はIT6以下の精度を出す最終工程。各砥石メーカーのカタログでも下記の取りしろが標準値となっている:
- 外径研削:片側0.1〜0.3 mm(直径で0.2〜0.6 mm)
- 内径研削:片側0.1〜0.25 mm、最小内径φ15以上
- 平面研削:片側0.1〜0.3 mm、熱処理変形が大きいSKD11等は0.5 mmまで
放電加工 — 高速ではない
EDMは硬度に関係なく加工可能だが、遅くて高コスト。Ra 1.6以上は追加仕上げ必要:
- ワイヤEDM:最小コーナーR 0.1 mm(φ0.2 mmワイヤ使用時)
- 形彫りEDM:銅電極消耗率1〜3%
ボーリング — びびり対策
- 一般ボーリングバー:L/D ≤ 4
- 防振バー:L/D ≤ 7
- 深穴:BTAドリル、ガンドリル
アンダーカットと逃げ溝(JIS B 0612)
- 研削逃げ溝:幅3〜5 mm、深さ0.5〜1 mm
- ねじアンダーカット:幅 = ピッチ × 2〜3、深さ = 谷径以下
💡 製造性検証の指針
設計の精度を上げたければ工場の加工現場を実見するのが近道だ。ベンダー、マシニングセンタ、ワイヤEDMを実機で30分見るだけで、図面の書き方の方向性が変わる。CAD画面だけでは「加工不可だが美しい形状」を描き続けるリスクが残る。
設計の精度を上げたければ工場の加工現場を実見するのが近道だ。ベンダー、マシニングセンタ、ワイヤEDMを実機で30分見るだけで、図面の書き方の方向性が変わる。CAD画面だけでは「加工不可だが美しい形状」を描き続けるリスクが残る。