SS400、S45C、SUS304、A5052 - 機械設計者の材質選定ディシジョンツリー
強度→S45C/SCM、耐食→SUS304/316、軽量→A5052/A6061、価格→SS400、熱処理→S45C/SCM、切削性→SUMなど機械設計でよく使う材質の選定基準
材質選定はJIS規格番号(炭素鋼 JIS G 4051、SCM鋼 JIS G 4053、SUS鋼 JIS G 4303、アルミ JIS H 4040)と各鉄鋼メーカーの材料データシートを照らし合わせて決めるのが基本だ。材質を決める前に、その部品が何に耐えるかを書き出す——腐食環境か、強度か、被削性か、コストか。これを順に潰していけば材質は自動的に決まる。
Step 1:腐食環境か?
水・薬品・食品接触・海岸地域があれば炭素鋼は除外:
- 一般耐食:SUS304(JIS G 4303)。Cr 18% Ni 8%、引張強度 520 MPa
- 塩素環境(海水・洗浄ライン):SUS316L。Mo 2%添加。半導体装置の純水ライン定番
- 軽量+耐食:A5052(JIS H 4000)。船舶・食品分野で多用。230 MPa
Step 2:強度・硬度が必要か?
- 中強度(500〜700 MPa):S45C調質。軸・歯車・ピン。MRO系の汎用流通で丸棒・加工品の在庫が豊富。
- 高強度(800〜1000 MPa):SCM440調質。建設機械部品の主力材。
- 高硬度(HRC 58〜62):SK3(JIS G 4401)、SKD11(JIS G 4404)真空熱処理。金型・ダイ・パンチ。
Step 3:被削性は重要か?
- 快削鋼 SUM24L:Pb添加で被削性最大化。ただし溶接不可。
- SUS303:SUS304の快削版(S添加)。耐食性は304より落ちる。
- A6061-T6:アルミ合金で被削性・強度バランス最良。治具・フィクスチャーに最適。
Step 4:コスト制約は?
- SS400(JIS G 3101):最安・入手容易。引張強度 400 MPa。溶接性◎。構造フレーム定番。
- SPHC(熱延薄板)/SPCC(冷延薄板):板金用。SPCCは表面美麗で塗装向き。
まとめ:ディシジョンツリー
- 腐食 → SUS304(塩素 → 316L)
- 軽量 → A5052(強度 → A6061-T6)
- 熱処理 → S45C(高荷重 → SCM440)
- 耐摩耗 → SKD11(コスト↓ → SK3)
- 汎用構造 → SS400
- 大量切削 → SUM24L(耐食必要 → SUS303)
💡 材質選定の指針
材質選定の最大ミスはオーバースペックだ。単純なカバーにS45C、室内環境にSUS316——コスト過大になる。各鉄鋼メーカーの材料データシートを開いて、要求値の1.5倍を満たす最も安い材質を選ぶのが基本となる。
材質選定の最大ミスはオーバースペックだ。単純なカバーにS45C、室内環境にSUS316——コスト過大になる。各鉄鋼メーカーの材料データシートを開いて、要求値の1.5倍を満たす最も安い材質を選ぶのが基本となる。