Oリング溝寸法を間違えると密封なしより悪い - Oリング溝設計の実務
圧縮率計算、動的・静的溝寸法基準、表面粗さと材料選択
Oリング溝設計の基準はJIS B 2401(Oリング・付属書の溝寸法)で、各シールメーカーのカタログにも溝寸法表が掲載されている。JIS推奨より溝幅を狭く設計すると、加圧時にOリングが「押出し」を起こして短期間で漏れに至るケースがあり、設計段階で必ず確認すべきポイントだ。高圧用途ではバックアップリング併用を前提に寸法決定する。
圧縮率(スクイーズ)の計算
圧縮率(%)=(W − G)/ W × 100 W:線径, G:溝深さ
- 静的シール:15〜30%(JIS B 2401付属書の推奨)
- 動的シール(往復運動):10〜20%(摩擦低減のため低め)
- 圧縮率 < 8%:シール不良 / > 35%:Oリング損傷・押出し
溝幅と隙間(ガップ)
溝幅は線径 × 1.3〜1.6、用途で調整:
- 静的:溝幅 = 線径 × 1.3〜1.5
- 動的:溝幅 = 線径 × 1.5〜1.6(膨潤・摩耗余裕)
- 高圧(10 MPa超):隙間が広いと押出し(Extrusion)発生。各シールメーカーのカタログには、バックアップリング併用基準が圧力×温度マップで掲載されている。
面取りと挿入ガイド
- 溝端部:15〜20°の面取り(C)。鋭いエッジはOリングを切る。
- シリンダボア・ピストンロッドの入口:必ずR処理かCで誘導。
表面粗さの要求(JIS B 0601基準)
- 動的シール接触面(ピストンロッド・シリンダ内径):Ra 0.4〜0.8(研削必須)
- 溝底面・側面:Ra 1.6〜3.2(旋盤・ボーリングで対応可)
- 静的シール接触面:Ra 1.6〜3.2
- レイ方向はメーカー推奨どおりに指定(多くは円周方向不可、軸方向 = )
材質選定(用途別)
- NBR(ニトリル):鉱物油・作動油・水。−40〜120°C。最も汎用的な材質。
- FKM(フッ素ゴム):化学薬品・高温油。−20〜200°C。半導体装置の真空ライン定番。
- EPDM:蒸気・温水・ブレーキ液。鉱物油で膨潤するので注意。
- シリコーン(VMQ):食品・医療、−60〜200°C。機械強度は低い。
💡 シール設計の指針
JIS B 2401付属書の溝寸法は「推奨値」であって絶対ではない。高圧10 MPa超や高温100°C超では各シールメーカーの専用カタログを参照する。バックアップリング併用の判断は条件依存性が大きく、現場経験で精度が上がる項目だ。
JIS B 2401付属書の溝寸法は「推奨値」であって絶対ではない。高圧10 MPa超や高温100°C超では各シールメーカーの専用カタログを参照する。バックアップリング併用の判断は条件依存性が大きく、現場経験で精度が上がる項目だ。