軸設計の3つの落とし穴 - 段差・キー溝・応力集中

段差比率とフィレット半径、キー溝位置と応力集中、ベアリング肩高さ、材料選択

回転軸の疲労破壊はほぼ100%、段差部かキー溝で起きる。JIS B 0911(軸の寸法)とJIS B 1301(キー及びキー溝)の基準寸法を満たしていても、応力集中係数(Kt)まで意識した設計でなければ短期間で破断に至るリスクがある。段差部のR指定(典型的には R3以上)とキー溝端のR指定は、設計レビューで真っ先に確認すべき項目だ。

段差部の応力集中とR設計

  • 直径比 D/d ≤ 1.5 を基本(急激な径変化はKtが跳ね上がる)
  • フィレット半径:r/d ≥ 0.1。d=30 mmならR3以上。S45C軸でこれを守ると疲労限が2倍違う。
  • 研削逃げのアンダーカットは応力集中悪化。やむを得ない場合はアーク型(R≥1 mm)。

キー溝の応力集中(JIS B 1301)

  • キー溝はKtを1.6〜3.0まで上げる「最弱点」。配置はベアリング支持部・段差部から軸径以上離す。
  • キー溝端部のRはエンドミル加工で必然的にできる。意図的に大きく(キー溝幅の0.5倍以上)すると応力集中が低減。
  • 重荷重ならキー溝の代わりにJIS B 1601(角形スプライン)かJIS D 5601(インボリュートスプライン)を検討。自動車のミッション軸では一般的にスプラインが採用される。

ベアリング肩(ショルダー)の設計

  • 肩高さ = ベアリング内径の3〜5%。各ベアリングメーカーのカタログにサイズ別の標準値が掲載されている。
  • 軸のフィレットR < ベアリング内径面取り(r₁)の関係を必ず守る。これを破ると組立時に肩に乗り上げる。

材料選定の現場感覚

  • 一般動力伝達:S45C(熱処理後HRC 28〜32)。汎用流通で丸棒・加工品ともに入手しやすい。
  • 高強度・浸炭軸:SCM435・SCM440。
  • 耐食性:SUS420J2(HRC 50超のマルテンサイト系)、SUS316(非磁性、半導体装置で多用)。
💡 設計レビューの指針
軸折れの大半はキー溝端と段差部に起因する。図面の段差Rに「Sharp」や「R0.5」と書かれていたら即修正対象だ。Shigley『Mechanical Engineering Design』の応力集中係数表は、軸設計時の参照資料として有用だ。
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