Ra0.8を全面指定するとコスト爆発 - 表面粗さ指定の実務

Ra別加工方法とコスト、機能別適正Ra選択基準、図面への記入法

表面粗さの指定は、JIS B 0601(表面粗さの定義及び表示)とJIS B 0031(製品の幾何特性仕様 表面性状の図示方法)の組み合わせで決まる。実務で問題になりやすいのは「Ra 0.8を全面指定して見積もりが想定の倍になる」という典型パターンだ。触針式表面粗さ計で測ればRa 0.4とRa 0.8の数値差はわずかだが、研削工程の有無で加工費は大きく変わる。

加工方法とRa値・コスト感

  • Ra 12.5〜25:ドリル・荒削りフライス。最安価。構造材、カバー類。
  • Ra 3.2〜6.3:仕上げフライス・旋盤。最もコストパフォーマンスがよい精密加工帯。組立面、ボルト座面。
  • Ra 1.6:リーマ・精密旋盤。ピン穴、はめあい部、Oリング溝。
  • Ra 0.8:研削必須。ベアリングシート、油圧バルブシート、Oリング溝底面。
  • Ra 0.4以下:ホーニング、ラッピング、スーパーフィニッシュ。油圧シリンダ内径、精密ゲージ、半導体部品。

機能別の選定基準

  • 転がり軸受シート:Ra 0.4〜0.8(JIS B 1566付属書)
  • オイルシール接触面(動的):Ra 0.4〜0.8、レイ方向の指定が必須
  • Oリング動シール溝底:Ra 1.6以下(JIS B 2401付属書)
  • ボルト座面:Ra 3.2〜6.3で十分

図面記入の実務

一括指定(注記欄に「一般:Ra 6.3、指示なき場合適用」)を基本にし、例外面のみJIS B 0031の表面性状記号で個別指示する。オイルシール対応面のように、レイ記号(=、⊥、X)まで指定が必要な部位は、メーカーの選定資料に注意書きが明記されているのが通例だ。図面で見覚えがあっても、自分で書く段になると忘れがちなのがこのレイ方向だ。

💡 コストレビューの指針
設計レビューで最初に見るべきは「Ra 0.8以下が必要な面はどこか」だ。経験の浅い設計者の図面では「念のため」全面にRa 0.8が入っているケースが多く、それだけで加工費は2〜3倍に膨らむ。本当に研削が必要な機能面だけ厳しく、他は緩く——これがコスト設計の基本となる。
ブックマークに追加!
PC: Ctrl + D
モバイル: メニュー → ブックマーク追加